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そして迎えた卒業式。
なごり雪の舞う校庭で、オレンジ色のカーネーションを手渡しながら、私は四度目の告白をした。
カーネーションの花言葉は、『尊敬』。中でもオレンジ色は、『純粋な愛』を示す。
そんな若干重苦しいカーネーションを受け取りながら、真人先輩は申し訳なさそうに眉を寄せた。
「城田のこと、可愛い後輩としか思えない」
なんてこったい。
私はどうやら、近づきすぎてしまったようだ。
自分のことを知ってもらいたいばっかりに、家庭のことはもちろん、趣味や好きな食べ物、果ては今日のお通じまで、洗いざらいぶちまけすぎた。
だって先輩優しいから。どんなバカげた話でも、ちゃんと受け答えしてくれるから。だから安心して何でも話せた。
だけどそれがいけなかったのかな? 反省。
がっかりする私に、先輩は言った。
「良かったら城田も同じ高校受けろよ。あそこはバレーの名門だから、きっと城田も気に入るはずだよ」
待ってるから、と笑った先輩の顔が眩しい。
雲の切れ間から陽が差し込み、いくつも光の筋を作っていく。
「はい」
涙の滲む目をごしごし擦り、私はとびきりの笑顔で再会を誓った。
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