254人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
「そんなことを気にしていたのか。
俺はそのままのユナがいいんだ。
貴族になんか染まらなくていい。
どうかいまのまま、きみはのびのびと過ごしていて。
毎日いっしょに庭を散歩しよう。
敷物を引いて、お茶をしながら他愛ない話をして、眠くなったら昼寝をしよう。
そういう時間が、俺にとって宝物なんだ」
それは、わたしにとっても宝物だ。
なにものにも代えがたい、奇跡みたいな贈り物だ。
ロビンさんの優しい指が涙を拭う。
そのまま顔を上向けられて、くちびるがやわらかく重なった。
「ずっとこうしてキスをしよう。
百万回でも、千万回でも、終わることなく、永遠に」
くちびるから愛しさが溶けていく。
わたしは両腕を伸ばして、ロビンさんを抱きしめた。
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!