25 弟思いのナツさん、いきさつを語る

10/12
前へ
/230ページ
次へ
 ナツさんは、少しだけ考え込む表情になったあと、名案を思いついたかのように言った。 「ロビンに向かって『結婚してください!』って二時間おきに言えばいいじゃん。  そのセリフさえ言えば治るんだしさ」 「それじゃただのイタイ子じゃないですか」  エーリカちゃんに見られたら、なんて言われるかわかったものじゃない。  ナツさんはさらに考え込んでいる様子だ。  もう、どんな提案が来ても驚かないし、肩を落とさない自信がある。 「そうか、わかったぞ。  百万回だ!」 「ひゃくまんかい?」  聞き返したわたしに、ナツさんは大きくうなずいた。  それを受けて、ロビンさんも反応する。 「ああ、そうか。  その手があったか」 「だろ?  達成率があまりにも低いせいで、教練書のスミのほうにちっさな字で書かれてただけのヤツ。  それを実行すれば無事治るんじゃね?」 「そうだな。  それがいちばん確実な方法だ」 「どんな方法ですか?」  いくら達成率が低くても関係ない。  それをすれば治るのなら、根性でやり遂げてやるぞ。  ナツさんは、目をキラキラさせながら告げた。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

263人が本棚に入れています
本棚に追加