25 弟思いのナツさん、いきさつを語る

12/12
前へ
/230ページ
次へ
 そもそも事の発端は、ナツさんの診療所にノコノコ出かけていったことにあるのだ。  治療費タダに釣られて、見るからに怪しい診療所に行ったわたしにも原因がある。  そして、猫鳴きに困り果て、フェロモンのせいでピンチに陥ったわたしをいつも助けてくれたのはロビンさんだった。  どこでも、どんなときでも、ロビンさんはわたしを助けてくれた。  優しく抱きしめて、元気づけてくれた。 「でも、百万回って。百万回って、むりですよね?  寿命のほうが先に来ちゃいますよね?」 「まさか。  たったの二十七年だよ。  一日百回キスする計算だとね」 「いちにち……ひゃっかい……」  ロビンさんの数の概念は、どうやらケタがひとつちがうらしい。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

263人が本棚に入れています
本棚に追加