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26 エピローグ
わたしはもしかしたら、とんでもない兄弟に目をつけられたのではないだろうか。
運の尽きとは、このことを言うのではないだろうか。
うう、どうしよう。
ものすごく変な人を好きになってしまったよ。
頭の中がぐるぐるしているわたしに、ロビンさんが手を伸ばしてきた。
優しい仕草で頬を撫でられて、途端に鼓動が跳ね上がる。
「なによりもたいせつに、ユナに毎日キスを贈るよ」
「ロビンさん――」
「ユナの名前を呼んで、抱きよせて、ふわふわした髪にふれて。
それから、このかわいいくちびるに口づける。
俺がずっと望んできたことだ」
ふいに、ひざに置かれていたロビンさんの手が淡く光った。
ほどなくして彼のてのひらに現れたものに、わたしは目を見開く。
「ロビンさん、これ……!」
「昨日、ナツの診療所にユナが出かけていたときに作ったんだよ」
そういえば、『魔法で作りものをしていたから集中してしまって、気づくのが遅れた』とロビンさんはあのとき言っていた。
彼の手に乗っかっているのは、シルバーの指輪だった。
ごくシンプルな造りで、けれど女性らしい曲線が繊細で、とても美しい細工を施されていた。
そしてなにより、中央に埋められている石にわたしは心を奪われた。
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