26 エピローグ

2/4
256人が本棚に入れています
本棚に追加
/230ページ
 その宝石は、なめらかに、たおやかに、日の光を受けとめていた。  ていねいにカッティングされ、丹念に磨き上げられたような石の色は、透明感のある緑だった。 「ユナの瞳の色だよ」  そう告げながら、ロビンさんはわたしの薬指に指輪をゆっくりと差し込んだ。 「すごく、綺麗……」 「この石よりも、きみのほうがずっと綺麗だ」  指輪にそっと口づけて、ロビンさんはわたしを見つめた。 「俺と結婚してほしい」  静かに告げられて、  わたしは言葉を忘れてしまった。  目の奥が熱くなって、このままでは泣いてしまうと思った。  そう思ったのに、ロビンさんは、すみれ色の澄んだ瞳で言葉を続けた。 「愛してるよ、ユナ。  ずっとユナだけを愛してる。  一生きみを護るから、俺のそばにいてほしい」  ああ、だめだ。  もう、泣く――。  あふれる想いを押しとどめることができずに、わたしはボロボロと涙をこぼした。  ロビンさんのたくましい両腕に抱きよせられた。  世界でいちばん安心できる場所にくるまれたら、よりいっそう涙があふれた。 「わたし、も、ロビンさんが、大好きです……っ」
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!