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それから3日後早くも王城での妃教育、ノアと共に受ける授業が始まった。通常王城、王宮に出入りするにはかなりの手続きが必要となるため、前世の役所での手続きの経験から1ヶ月程、早くて半月はかかると思っていたのだ。なんなら父上も早すぎるとボソリと呟いていた程だ。
(本当、仕事が早いなぁ)
そんな訳で今は登城するための馬車の中。父上(実は財務大臣だった)と共に向かっている。誕生日パーティーの時に通った門とは別の場所から入り、父上はそこから仕事に向かうため直ぐに別々になるのだが。
「ではユエル、粗相の無いように気をつけなさい」
「はい。父上もお仕事頑張ってください」
「……うむ」
前世で当たり前に言っていたことを伝えただけで少し照れたような反応はやめてほしい。こちらも照れるではないか。
そうして一人、迎えの人を待っていると執事服を着た老紳士がやって来た。
「ユエル・フォン・バハル様でしょうか」
「はい、そうです」
「リアム殿下より案内を仰せつかりましたターナーと申します。早速ご案内を、と言いたいところなのですが、諸事情によりリアム殿下の予定が押しておりまして。よろしければ庭の見学をしてから向かわれますか?殿下の許可は頂いております」
そう話すターナーは穏やかな笑顔を絶やさず、ユエルはそんなターナーを見ながら後『カ』を付けたら田中になってセバスチャン(バスチアン)と揃ってこれぞ執事!なイメージ通りの名前なのにと呑気に考えていた。
「………バハル様?」
「あっ、すみません。では折角なのでお庭を拝見してもいいですか?」
「えぇ、勿論ですとも。ではついてきてください」
退屈しないようにとノアが計らってくれたのか、二人が出会ったのが庭だったため庭が好きだと思われているのか。実際庭は好きなのだが次はノアと見て回ってみたいと思いながら、今はターナーの後に付いていき、庭の案内を素直に受けることにした。
「ふんふんふんふーん♪」
前回の庭もそうだったが、今回の庭も色とりどりの花に溢れていて気持ちがいい。はじめはターナーが花の説明なんかをしてくれていたのだが、様々な花に目移りするユエルの状態を見て、好きに回せてくれる方針に変えてくれたようで、今は後ろから微笑ましそうに見られている。
鼻歌でも魔法が使えてしまったことは確認しているが、気がついたら鼻歌を歌ってしまっていたし、途中で止めるのも不自然かと思い、今は何も考えずにただ花を愛でている。平和だなぁ、ノアの用事はまだ終わらないのかなぁ、終わる頃にはターナーが案内してくれるのだろうなぁ、なんて思いながら歩いていると、急に声をかけられる。
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