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「おい!お前!」
「ん?」
突然の大声に、誰が呼びつけられているのだろうと興味本位で声のした方を見やってみる。そこにはこちらを見ているノアよりも濃い金髪(黄色に近い?)に濃い青色、濃紺色っぽい瞳を持った、やんちゃそうだが将来はイケメンになるのだろうことが予想されるような男の子が立っていた。
「おいお前、聞いてるのか!ここは王族のキョカがないと入れない庭なんだぞ!」
「あ、僕に話してたの?」
「お前以外に誰がいるんだ!」
「えー、誰だろう。ターナーさん?というよりもそんなに怒鳴らなくても聞こえてるよ」
「〜〜〜〜っ!お、お前、フケイだぞ!この庭に入ったことも、まとめてバツを与える!…ふふんっそうだな、オレにフクジュウを誓えば許してやろう!」
「発言をお許しください」
「む?従者ごときが何だ!口を挟むな!」
ワーワーと喚き立てる子に、何が言いたいのか聞いていたのだが、よくわからないし、ただ話しをしようとしたターナーに対しての言い草が酷い。王族の許可がないと入れないということは、王族に近しいのか、はたまたこの子自身が王族なのかが考えられるのだが、喚くだけの子に不敬と言われたところでどうでもいい。
「ターナーさん、そろそろ時間なのではないですか?行きましょう」
「おい!どこに行く気だ!オレはバツを与えると言ったんだぞ!」
「はぁ……どこの誰ともしれない奴が言う罰に、なんで従わないといけないの?」
「オレを知らないだと?」
「むしろ何で知ってると思ってるの?」
「オレのことを知っているのは当たり前だからだ!コウキな身分だからな!仕方がないから知らないなら教えてやる!オレはラオシュ・ギーラ・ド・クロイツフェルトだ!」
「………ユエル・フォン・バハルです」
やはり王族だったかと思いながら、名乗られてしまったのでこちらも自己紹介をする。しかし非常に面倒くさい。前世の記憶が面倒くさい人に対しては正面切って言い合わず、逃げる方がいいと言っている。
「じゃあこれで。さ、ターナーさん、行きましょう」
「オレは行っていいなんてキョカしてないぞ!フケイザイだ!」
「……不敬罪の意味って知ってる?」
「当たり前だろう?オレをバカにしたやつを懲らしめるためのものだ」
「……近いようで遠い?いや、合ってるのかな…」
「ふふん。とにかく、お前はオレにフクジュウを誓えばいいんだ」
「え、嫌だけど。そもそもちゃんと許可をもらってこの庭に来てるんだから罰することは出来ないよ」
「なんだと?デタラメを言うな!誰からキョカをもらったと言うんだ!」
「その辺りの説明をターナーさんがしてくれようとしたのに、聞かなかったのはそっちでしょ?」
王族だということはわかったのだが、散々子ども特有の高い声で喚かれて疲れてしまった。優月時代はあまり怒ることもなく笑って過ごしていたのになぁと思いながら、本当に走ってでも逃げてしまおうかと思いながら振り返ってターナーを促そうとした。
「ナマイキばっかり言うな!」
「バハル様!」
「何をしているのかな?」
思いの外近くで声が聞こえたと思った途端、王族の前でどうにも出来ていなかったターナーの焦ったような声に、慌てて振り向くとラオシュがユエルの腕を掴もうとしている姿で、どうしようかと思った瞬間、穏やかだが何処となく圧を感じる声が響いた。
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