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「自慢話って、お前にも作ってやろうかって毎回聞いてやってるじゃないか!」
「………聞いてやってるっていう言い方が嫌だし、服にも興味がないし、授業は今いろんな先生にしてもらってるし、高名な先生って言われてもピンとこないし」
いい加減疲れてきてしまったので、思ったことをつらつらと言ってしまう。本来お茶会とは疲れを取る休憩のはずなのに、なぜ疲れないといけないのか。
「………もうそろそろノアとの授業が始まるから、行ってもいい?」
「~~~っ!なんだよ兄上兄上って!薄気味悪い笑顔しか浮かべない、何考えてるかわからない不気味な奴なんて「殿下」っ!」
「………殿下とのお茶会もこれで最後ですね。もう引き留めないでください」
「なっ、なんで、急に……」
「わかりませんか?誰が仲良くしている、これからも仲良くしていきたい婚約者の悪口を言われて喜ぶんですか」
「だ、だって、本当のことだし、それに、オレが国王になるのに、あがくように勉強しているのはコッケイだって、みんなが……」
「………そのみんなが誰を指しているのかは知りません。ですが、少なくとも僕が見ている限り、この国の事を思って勉強をしているノアと、授業から逃げている、僕なんかを引き留めてのんきにお茶をしている殿下と…。国王になってほしいと思うのはノアです」
自分が今酷く冷めた表情をしているだろうことが分かる。しかし今も王族としてしっかりと教育を受けているノアを、貴族として、王族ならばなおの事身につけないといけないポーカーフェイスも、子どものままではいられなかったのだろうノアを馬鹿にされて黙っていられない。それに、度々現れては中身のない話しかしないラオシュが虚仮にしていいわけがない。
「だって、だって、みんなオレの方がって、国王のカリスマ性はオレの方があるって。だからオレに国王になってほしいって思ってる人が沢山いるって……」
「そのカリスマ性とやらは何の役に立つんですか?国民を飢えさせることなく養える?魔獣の脅威から守ることができる?違う言語・文化の人たちと仲良くできる?それで国の平和が守られるんですか?どうやって?」
「……オレがわからないことはわかる人任せたらいいって」
「では今殿下が分かることとは何ですか?分かるためにする勉強をしていないのに、今後分かるようになるとでも?………分からないことを聞くことが悪いと言っているのではありません。分からないことをそのままにしておくことはいいことではない。今の殿下が国王になれば、それはただのお飾りだ」
「………おかざり?」
「中身のない、見かけだけの王様ということです」
十中八九ラオシュにこんなことを教えているのは裏で国を操る、乗っ取りたいと思っているあくどい大臣や貴族なのだろう。一体どんな人選をしているのか。子どもなんて、周りから受ける影響が大きく今後の性格や行動に現れるというのに、それを気が付いていないのか、見逃しているのか。どちらにせよこのままではラオシュがいい方向に向かうとは到底思えない。
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