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「さぁ、今日はこのくらいにしましょうか。次回までにユエル様の講師を見繕っておきますね」 「よろしくお願いします」 「はい。では、午後からは魔術でしたね。お二人共魔力量は多いでしょうから、怪我に気をつけて、頑張ってくださいね」 「はい。ありがとうございました」 魔力量が多いとコントロールが難しくなり、魔力暴走を起こしやすくなると言われている。酷い時には半径500m程を吹き飛ばす大爆発を起こしたと伝えられているが定かではない。なので先ずはコツコツと魔力操作を身に着けている段階なのだ。 (だからノアに家で魔法を試した時の相談をしたら無表情で怒られたんだよね) いつも笑顔でいる印象しかなかったので、アレは怖かった。思わず背筋は伸びたし、なんなら正座をしなければいけないのではないかという雰囲気だった。 「さぁ、お昼を食べに行こうか。今日は天気が良いからガゼボに用意してもらうよう伝えてるんだ」 「!今日のメニュー何だろう?いつも美味しいから楽しみ」 少し思考を飛ばしていたらノアに声をかけられて我に返る。いつの間にか副隊長さんは居なくなっており、ニコニコと笑っているノアが居るだけだった。なぜだか少し気恥ずかしくなり、少し大げさに喜んでみる。いや、実際かなり食事は美味しいので嬉しいのだが、うん。誤魔化し方がわからない! そんなユエをよそに、ノアはこちらの葛藤も見透かしているのかクスクスと笑うばかり。それが少し面白くなくて、半ば体当たりする勢いでノアにもたれかかる。 「早くガゼボに案内してくださーい」 少しむくれた顔になっているとは思うが、先程からずっと笑われているのでこのくらい許して欲しい。しかし結構な勢いで当たったはずなのにびくともしないとはどういうことなのか。 「………ユエ」 「?…なに?」 いつもなら直ぐに動き出すのに少しの沈黙の後、名前を呼ばれて不思議に思いながらノアの顔を覗き込む。幸いまだ二人の身長はそこまで大きく変わらないので顔が近くよく観察できる。 グイッ 「他の人にそんなことしちゃダメだよ?」 「にゃんれ?」 両手で頬を挟むように掴まれてしまい、変な言葉になってしまった。というよりも、そんなこととはどんなことなのか。今したことと言えば体当たりと表情を見るために覗き込んだことくらいで、友達同士で良くすることなのでは?特に体当たりなんて前世ではふざけ合ってどちらが先に倒れるか、なんて勝負をしたくらいだ。 「………他の人とこんなにくっついちゃダメってこと」 「?まぁ友達いないからしないけど」 「うーん、そうじゃないんだけど……まぁいいか。俺が気をつければいいもんね」 「何を?…まぁノアがそう言うなら気をつけるよ。それよりご飯!時間なくなっちゃう」 ぼんやりしていたのは自分だし、その後の会話のきっかけを作ってしまったのも自分のような気もするが置いておく。触れてはならない。今大切なのはご飯を食べること!お腹すいた!
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