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次の日の朝もバスチアンが起こしに来てくれた。何でも元々は父上(元々はお父様と呼んでたけど恥ずかしくて無理)についていた執事らしいのだが、ユエルがバスチアンに懐いたことから、3歳になった頃にユエル付きの執事となったらしい。 ちなみに昨日はあれから気まずい雰囲気の中食事を何とか食べ終わった後、兄弟たちが何か言ってこようとしていたが、先手を打って「おやすみなさい」と笑顔で言ったら暫し固まって何も言ってこなかった。 (まぁ、元々あんまり関わってなかったし気にしなくてもいいよね) 今朝起きてわかったのは、知識は優月であった頃に比重が大きく、言葉遣いや所作に関してはユエルの比重が大きいという形で何とか落ち着きそうで一安心した。性格はどうしても24年生きてきた優月の影響が強いように思うが、我が儘放題する前は素直に育ち、元々の性格は悪くなく、あまり違いは無いように思う。きっと周囲の環境により性格が歪んでいってしまったのだろうと今ならわかる。 それよりも今日から授業を再開すると言っていたので、自己分析ばかりでなく切り替えなければ。何故か授業のことを思い出そうとしてもほとんど浮かんでこず、教師を追い返そうと怒鳴っている場面しか思い出せていない。それに何だかわからないが恐怖心のようなものを感じる始末なので、実際に受けてみないと何もわからないという事態に陥っていた。 (記憶障害だっていうことは伝わってるはずだし、何とかなる…よね?) そう思い授業の準備をして挑んだのだが………。 記憶障害だと前面に押し出して授業を受け始め、知らないことを教えてもらうことは楽しかった。 まず初めに、この世界には魔法があること。ほとんど全ての人が使うことができるが、平民は生活魔法レベル、貴族は魔力が豊富なのでかなり強い魔法も使える。しかしそれは魔獣に対抗するためであり、平民を守るための力である。 属性も様々にあるが、得意不得意はあれど火・水・風・土・光・闇・無の全て使うことができる。かなりの修練を積んだり、センスがある人はその上位魔法である炎・氷・雷・重力・治癒・状態異常・精神魔法などを扱うことが出来るようになるのだとか。 そんな話にワクワクしたが、歴史を学ぶという時にかなりの衝撃が走った。第一王子殿下の誕生パーティーに参加するので、国の成り立ちや王族のことを重点的に学ぶことになったのだが、国王と王妃と書かれた家系図を見たとき、明らかに男性同士や女性同士の名前が並んでいることがあり、どういうことか聞いてみた。すると怪訝そうな顔をされながらも、男性同士であっても特殊な薬を使用することで子供を産むことができ、女性同士でも薬に加え、魔力があるため子供を産むことができる。そのため男女関係なく婚姻を結ぶことができると簡単に説明を受けた。詳しいことは追々閨教育を受けると言われた。 まぁ驚きはしたがバンドマン特有なのか、自分の周囲だけがそうだったのかはわからないが、同性愛者は身近に結構な人数いたし、元々偏見などないため好きな人と性別関係なく結婚できるって幸せだなという思いに落ち着いた。 そんな風にいろいろと学び、楽しかったのだが………。 (嘘でしょ。僕、こんなことに耐えてたの?そりゃみんな追い返したくなるよ)
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