第一章

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取材は、オフィスの応接室で行われることになっている。 広報担当が雑誌社と事前確認をしている間、河本と雑談していた。 「いつか聞いてみたいと思っていたんですが、社長はどんな女性がタイプなんですか?」 「え?」 「だって浮いた話も聞かないし、アプローチしてくる女性たちもクールに断ってますよね。だから、いったいどんな女性を求めてるのかなと」 「・・特に無いですよ。素の私を受け入れてくれる人なら・・」 事前確認が終わったのか、『お願いします!』と広報担当から声がかかる。 まだ聞きたそうな河本をよそに、編集者のもとに向かった。 「服部です。今日はよろしくお願いします」 「こちらこそ、お忙しいところお時間調整いただきありがとうございます。今回は写真を2枚ほど・・対談中に1枚、対談後に1枚の予定です。それでは、今から20分ほどお話をお伺いしますので、どうぞお座りください」 編集者は坂本(さかもと)という男性で、40歳くらいに見える。 経営者への取材に慣れているようで、テンポ良く話が展開した。 「・・以上で終了となります。草稿は後日メールでお送りしますので、3日ほどで返送いただけると助かります」 「分かりました。広報に届き次第、確認してお返しします。では、この後会議が控えておりまして、ここで失礼します」 河本と広報に任せて、俺は高澤と会議室に向かった。
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