会社のやつら

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会社のやつら

「お疲れーっす」 「お疲れ」 会社の事務所で、タイムカードを通す。 はぁ、やっと帰れるぜ。 「なんか嬉しそう」 先輩ドライバーに言われる。 「え?そんなことないですよ」 「あの年上彼女にご執心だなぁ」 「まぁ」 「うわ…、隠すことなくのろけやがった。」 正直めぐには見せられないほどにやけてしまう。 「彼女も若い彼氏で大変だろうなぁ」 「でも、若い彼氏って良くない?」 事務員さんも巻き込んで、 話が膨らんでいく。 「でも、年の差って大変なこともあるかもなぁ。」 「わかるぅ、若い子相手にしてると疲れるしね」 え?それマジ? 「若いって、頭の回転も速いし、 話題もついてけないし、何より体力もねぇ」 なるほど…。 「デートもゆったり落ち着いたとこ行きたいけど、 若い子にはそういうの退屈でしょ?」 「いや、俺は、たいていまったりしてるんで」 うん、めぐには無理させてない。 と思う…。 「でもなんか中島って彼女によしよしされて、喜んでそう」 「あぁわかるぅ猫なで声とか、 あかちゃんことばとか?」 「はぁ、そんなんしてないっすよ」 「えぇ、でもかわいいもんね中島君。」 “でちゅ”とか言って、壮大に俺をおもちゃにし始める。 「いや、まじで大人の関係なんで」 「いやそれはそれでいやらしいけど」 「いや普通ですから。」 「中島さん彼女の前ではドSっすよ」 突然事務所に入ってきた可南子のその一言で、 全員が固まる。 「むっちゃそっけないし、 くそほどもドSです。」 「…え?マジ?」 「はい、そんで、 彼女が必死になるの見て、 喜んでるんす」 いやいやいや、事実だけど、 そうじゃない。なんかあらぬ誤解だろ! 「うわぁ、楓人…。引くわぁ」 犯罪者を見る眼付きですよね? 「でも信じらんない。 会社ではこんなのろけてるのに?」 「いや、その感情、彼女の前で出してやれよ」 「あんまりいじめてると、嫌気がさして逃げられちゃうよ」 「世の中優しい男なんていくらでもいるからな」 「…!いやめぐはそんなことないんで!」 「いや、必死すぎんだろ?」 確かに、でもめぐが逃げるなんて…。 「マジで、やさしくしてあげてください」 最後に可南子の一撃を食らう。 「か、帰りますお疲れでした。」 あぁ、みんなマジで…。 早く帰って、めぐを抱きしめよう。
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