チャラ男会計様

9/16
前へ
/129ページ
次へ
 あれから10分ぐらい経ち、流石に先生来るの遅すぎないかと思っていた時、やっと先生が来た。 「はーい、席についてー」  そう言って教室に入ってきたのは、我等がホスト担任である(あずま)桃矢(とうや)先生……ではなく、数学担当の笹木(ささき)(ながれ)先生だった。  あれ?確か木曜の5限目は現代文だったはず…。時間割り変更でもあったのか? 「あれぇ~?ながやんじゃ~ん。次数学になったのぉ~?」 「あぁ水無月さん、授業来れたんだね」 「そうだよぉ~。って、俺の質問に答えてよぉ~」 「ん?あぁ、違うよ。えぇっと、東先生が『急用が出来たから次は自習にする』と言ってたから、それを伝えに来たんだ」 「えぇ~。それって俺が来た意味ないじゃ~ん」  しかし急用とは…。  東先生は見た目ホストだが、授業はサボったりしないでちゃんとする人だ。しかも1番分かりやすい。  そんな人が自習にしなくてはいけない程の急用とは、一体何なのだろう?  まぁ、学園関連のモノだったら生徒会にいくだろうし、覚えてたら放課後会長に確認してみるか。 「あと」 「ん?」 「『自習になったからといって、途中で教室を抜け出すなよ?』って、伝言」  最後にそれだけ言うと、笹木先生は教室を出ていった。  あのホスト……絶対俺に向けて言ってるよな…。  昨日『明日は午後から出るねぇ~』って言っておかなければ良かった。  …そういえば、一緒に来たはずの双子の声と双子を狙うガチムチ共の歓声&囁き声が全くしない。  教室内を見回す。  こういう時、1番後ろの席で良かったと思う。前や真ん中だと、余計に目立ってしまうからな。  …いないな。  は?あの双子何処行った??というかいつの間に…。 「颯クン、カエちゃんとぉカナちゃんがぁ、どこに行ったか知ってるぅ~?」 「永瀬(ながせ)君達は、水無月君が教室に来た時に2人で西側に行ってたよ。ごめんね、それ以上は分からないかな」 「そっかぁ~。ううん、教えてくれてありがとぉねぇ~」  西側…。何か双子の興味を惹くものがあったか?  この校舎の西側にあるものといえば確か、図書室(もはや図書館)と家庭科室(調理室・被服室)、音楽室A、美術室Aと美術室Ⅱ……出せば切りがないな。  まぁ、双子なら大丈夫だろ。アイツら意外と強いし。それに、いつもバレないように双子の親衛隊員が数人ついてるし。  そう考えを自己完結させ、自習時間を有効活用すべく、俺は今日の分の生徒会の仕事をし始めた。  勿論、機密のものもあるので、見られても大丈夫なように(されないと思うが)、それ以外のをだが。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

879人が本棚に入れています
本棚に追加