チャラ男会計様

12/16
前へ
/129ページ
次へ
「アハハハー!!」 「会長、何やってるのさー」 「「ジメジメかいちょー(会長)だー!!」」  とうとう堪えきれなくなったらしい。双子は盛大に笑い始めた。会長が年上であるということに関する遠慮なんて破片も無く、ついには腹を抱えだす始末だ。 「はぁ……会長、何しているのです?そんな事してる暇があるのなら、書類を少しでも片付けて下さい。あと慶、そんな人の近くに居ると陰気臭いのが移りますよ。早くコチラに来なさい」  副会長は、絶対零度の目線できのこ栽培をしている会長を一瞥(いちべつ)した。かと思うと、すぐに温度をいくらか目線に宿し、未だに会長を撫でている慶を見て優しく(さと)していた。  なんていうことでしょう。この人が1番辛辣だった。 「なんか分からないけどぉ、会長どんまぁい」  俺はいつも通り、へらっと笑う。 「………」  更に湿気が高くなり、きのこ栽培の規模を拡げた会長。  このままだと、生徒会室がきのこだらけになってしまう。 「かいちょ…こと、ば…み、な…さえぎ、た…。…かいちょ、おちこ、だ…」  このままではいけないと悟ったようだ。慶は、会長がこうなった理由(わけ)を俺達に一所懸命に説明し始める。が、その右手は相変わらず会長の頭を撫でたままだ。いつまで撫でているつもりだろうか。  まぁとにかく、会長がこうなった理由は慶のおかげで分かった。俺達に言葉を何度も遮られて、そのせいで隅できのこ栽培を始める程落ち込んだらしい。  うん、理解はできた。しかし─   「ん~…あれぇ?俺たちぃ、会長の言葉を遮ってたけぇ?」 「…そういえばそうですね。いつ遮っていたでしょうか」 「どうだったけー、奏?」 「覚えてないよね、楓」 「「ねー!」」  会長の言葉を遮っていた覚えは全く無いが、慶がそう言うならそうだったのだろう。  つまり俺達の会長イジり(?)は、無意識下でも行われるぐらい、身に付いているということだ。  ここまでくれば、もはや遺伝子レベルだなw 「…嘘だろお前ら…」  当の会長は青天の霹靂というばかりに、ショックを受けたらしい。そのあまりの衝撃に、きのこ栽培をすることを忘れて呆然としている。 「あそこで固まっている会長は放っておいて、私達はさっさと書類の山を片付けますよ」 「えぇー!れいれいの人でなしー!」 「僕らはマコちゃんが用意してくれたー」 「「カフェオレ(レモンティー)とクッキーで一休みしてからがいいー!!」」 「ココ、ア…のむ…」 「はぁ…。まぁ折角水無月が淹れてくれたんです。まだ温かいうちに飲んでしまいましょうか」
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

879人が本棚に入れています
本棚に追加