11 子どもみたいに不器用で純粋な告白

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 しばらくしてからオスカーは立ち上がると、騎士が姫にするように恭しく見事な一礼をし、フローラの手を取った。おとぎ話に出てくるような仕草に、フローラは息をのんで目を丸くした。 (わ、なんだかお姫様になったみたい……)  子供みたいな感想が頭に浮かんだが、子供の頃に遊んでいたお姫様ごっこの騎士なんかとは比べ物にならない。 (そうだった。オスカーさんは、本物の騎士なんだ……)  手を引かれるままにフローラも立ち上がって向かい合うと、オスカーは手の甲へと口づけをした。フローラはすっかりドギマギしてしまったが、オスカーの方はもういつもの表情に戻っている。 (これは、ズルい……! オスカーさんは騎士だから、こんなの全然、なんてことないんだろうけど……だけど、こんなことされたら、惚れてしまう。いや、惚れてた。なんならさっき好きって言われて……それで……落ち着いて、私……)  そこでフローラは今更ようやく気づいたのだが、オスカーは騎士の制服を着ていた。精悍な姿に、凛々しい濃紺の騎士服がとても似合っている。  いつも下ろしている前髪も上げていた。徹夜明けで走ってきた今は、髪も幾分乱れてしまっているが、それもまた色気があってスッキリとした額の見える様は格別だ。フローラは思わず見惚れてしまう。 「では、改めて。庭園披露宴へ、私とご一緒していただけますか?」 「はいっ、もちろんです。あ、でも、そろそろ警護の当番の時間では……?」 「さすがにそこまで激務な体制は組みません。昨日からの徹夜ですから、昼過ぎまでの勤務に変わってます。明朝までは非番です」  と言っても、徹夜明けの二人の体力は、もうほとんど底をついていた。  緊張しっぱなしだった糸が切れたのか、急に睡魔が襲ってくる。ふらりと体を傾げたフローラをオスカーはやさしく受け止めてくれた。 「す、すみません」 「少し眠ってから行きましょう。庭園披露宴は夜まで開いていますから」 「ええ、今すぐ行きたいけれど、体が限界ですね」  そこで二人は顔を見合わせ互いに頷くと、少し仮眠を取ることにした。
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