13 それからふたりで

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 話を聞く限り、門衛の仕事はなくなるのだろう。となると、水曜に門衛姿のオスカーを見ることはもうなさそうだ。 「水曜の楽しみがなくなって、残念です」 「いつでも会いに行きますよ。花も買いたいですし」 「ええ、ぜひ。もうすぐ夏の花も増えてきますし、オスカーさんの気に入りそうな明るい花もたくさん入りますよ」  オスカーは小さく頷く。 「そういえば、いつも明るめの花をお選びですよね」 「ああ、それはあなたみたいなので」 「……っ、そ、そうですか」  オスカーは時々、不意打ちのように甘い言葉を言うけれど、あまりにも普段と声の調子が変わらない。フローラは自分ばかりが意識しているみたいだと、ちょっと恥ずかしい。    それでも、頬を染めた顔でオスカーを見れば、表情を緩めた顔を見せてくれる。ほんの少しオスカーの頬も赤く見えるのは、きっと夕焼けのせいだけじゃないと思う。 「そうだ、妹夫婦に夜会を一緒に過ごせなくなったことを言いに行かなくちゃ。オスカーさんのことも紹介したいんですが、いいですか?」 「ええ、もちろん。俺も主人にあなたを紹介させてください。というか、絶対紹介しろと向こうからやってくると思うので……」 「えっ、オスカーさんのご主人って……エリザベス様では!??」 「……領主様も一緒に来られると思います」 「ひええ、恐れ多い……そんな、私なんかがいいんですか?」  びっくりして目を白黒させるフローラに、すかさず「あなたがいいんですよ」と言ってから、オスカーは申し訳なさそうにした。 「俺が庭園披露宴の相手がいると言ったら、絶対挨拶すると聞かなくて」 「そ、粗相のないように頑張ります……!」
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