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奴らの気配に気づいた俺は、あまり関わりたくないので、大阪のブースからすぐに移動しようとした。しかし、奴らは運悪く大阪に荷物を置きに来たため、遭遇してしまった。
「よう、黒住くん。さっきはありがと。おかげさまで一服楽しめたわ。また明日も"代行"よろしくな」
髪の長いロン毛男が、笑いながら俺の肩を叩く。もう一人の背の高い坊主頭も、無言でニヤけている。
俺は一瞬目を逸らしたが、すぐにニコッとした笑顔を振りまいて言った。
「大丈夫だよ。ゆっくり休めてよかったね。俺でよかったら、また頼ってよ」
__何言ってんだよ、"偽善者"。
爽、お前はそんなにお人好しじゃない。
本当は悔しいんだろ?パシリにされてさ。
自分の担当する荷物くらい、てめえで運べよ。
声を大にして言ってやりたいんだよ。
でも…言えなかった。俺は臆病だから。傷つくのが怖い。反抗して喧嘩になっても、勝てる相手じゃないのは目に見えてる。自らが折れて我慢した方が、無難に日々を過ごせる。
こんな現実が嫌だった。
早く抜け出したかった。
俺は__変わりたいんだ。もっと精神的に強くなりたい。
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