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17.
洋館で見つけた死体は、とても美しい顔をしていた。気高さと儚さを感じさせる、抜けるように白い肌をしていた。それは間違いなくレイの顔だった。
「海斗くん……」
レイはじっと僕を見てから、せつなげに目を伏せた。
「レイさん、何か言ってよ。答えを知っているんでしょ?」
レイはしばらくの間黙っていたが、やがて口を開いた。声はほんの少し震えていた。
「あなたはいい子よ。できればずっと側で見守りたいわ。あなたが大人になっても。でもそうはなれないことは分かってるでしょ」
「どういう意味? それとあの死体の顔と何の関係が……」
レイは静かに首を振ると言った。
「いずれ説明するわ」
そして姿を消した。
姿を消すこと自体は別に珍しいことではない。これまでにもレイは姿を見せないことは何度もあった。それでもこちらの様子は覗えているらしい。
ただこの時ばかりは、知らない場所に置き去りにされた子供のような気分だった。
僕は匿名で警察に電話すると、洋館についての説明をした。
何かもう一つ気になっていることがあった気がしたが、しばらくすると忘れていった。
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