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「本当に行くの?」
「うん」
山科から教わった三上のSNSの裏アカウントをチェックすると、僕はすぐに飛行場へと向かった。
三上が今日中に日本を発つことは、そこに記されたコメントから分かっていた。
「海斗くん、あなたは本物の名探偵じゃないのよ? 別に真実を暴かなきゃいけない義務はないのよ?」
レイはそう言ったが、僕は聞く耳を持たなかった。プロだろうがアマチュアだろうが、名探偵とはこういう人種なのだから。
「いたわ。あそこよ」
レイが指差した。
夜が近づいていることもあり、空港の待合室は比較的閑散としていた。
三上はそこで、ベンチの一角に座っていた。
「痛っ」
三上のもとに向かおうとして、突然僕は足の裏に釘で刺されたような痛みを覚えた。
「どうしたの? 急に」
跪いた僕をレイが心配そうに覗き込む。
足元を見るが、特に尖ったものは落ちていない。
「いや、何でもない」
「……ねえ、海斗くん。前にもこんなことが……」
「大丈夫、レイさん。それよりも三上が乗る飛行機の時間が近づいている。さっさっと行って片づけよう」
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