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「警察がのんびりし過ぎなんだよ。瑠璃の居場所がわかったって教えに来たくせに、上の指示がないと何も出来ませんとか 役立たずだろ?」
「そいつらは、私情で動いてた僕に協力を申し出てくれた、貴重な部下なんだぞ。"真っ当な捜査"の奴らと上手く連携を取りながら、密かに僕をサポートしてくれてたんだ。僕が指示しなきゃ、勝手な真似は出来ないだろうが」
「知るか!呑気なことしてたせいで、瑠璃が危ない目に遭ったじゃないか!」
「京介」
ヒートアップしそうな京介の手を握り返すと、彼はハッとして静かになった。
全く気づかなかったけれど、盛村さんの部下の一人が、家を出てからの私をずっと尾行してくれていたらしい。
私があの喫茶店に入ったことを確認し、これからどう動けばいいか 盛村さんの指示待ちの間、事前の打ち合わせ通り、仲間へ連絡を取って京介たちに状況を伝えたそうだ。
私が消えたことに気づき 危機感を募らせていた京介は、彼らから居場所を聞くなり制止を振り解き、覆面パトカーを奪って喫茶店に乗り込んだのだ。
「本当にギリギリだった……あと数分遅かったら……」
あと数分 京介が来るのが遅かったら……私は市川に壊されていた。
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