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すると いきなり盛村さんが立ち上がり、私に向かって深々と頭を下げる。
「瑠璃さん、本当に申し訳ありませんでした。実際、京介が間に合わなければ 取り返しのつかない事態になるところでした」
「……頭を上げてください。一人で春斗に会いに行った私が悪いんです。全部 自業自得だと」
『殺人事件が公になったら困るだろうね』
春斗のメッセージを見て動揺し、無謀な行動をしたのは私だ。
何故 春斗が、京介が事件に関わっていることを知っているのか
警察の捜査情報が漏れたとして、それをどうやって手に入れたのか
あんな風に呼び出されるのには 何か裏があるはずなのに、よく考えれば春斗と市川が繋がっていても不思議はないのに、京介を守りたい一心で冷静さを欠き、結局 恐ろしい目に遭ってしまった。
あの時 市川たちに暴行され 壊された挙げ句、助けに来てくれた京介が 怒りのあまり男たちを殺していたら……
「盛村さん。私、途中から記憶がないんです。掴んだナイフの感触や、それを市川の胸目掛けて振り下ろしたことは覚えているのに……本当に刺していないんでしょうか?」
とにかく必死だった。
京介を罪人にしてはいけない、ただ それだけだった。
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