プロローグ

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プロローグ

「ねえねえ、今回の『モガール』のCM見た?」 「見た見た!(ひじり)様、超カッコイイ〜」 「一部の人しか、撮影現場に入れなかったんでしょ?」 「みたいだね〜広報の子が嘆いてたよ。一人だけが選ばれて現場に行ったって。見たかったのに不公平だって」 「そうだよね。何もかもシークレットなんだよね?しかも、なぜかうちのCMにしか出てない」  噂話に盛り上がりながら歩く女子社員二人は周りが見えていない。  『ドンッ』 「イテッ」 「痛〜い。ゲッ、ダサ、あっ」  慌てて口を塞ぎ、なんとか続きの言葉を堪えたようだ。 「せ、専務。こんな所で何を?」  女子社員の一人とぶつかったのは、この会社『最上飲料』の御曹司であり、専務の最上聖七(もがみせな)だった。  目元が全くわからないダサダサ眼鏡に、ボサボサの髪、オシャレには程遠いスーツを身につけており、ダサイ専務略して『ダサ専』と言われている。  
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