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叩かれたところが、じんじんと痛んでくる。
許せない……。
いくらお兄ちゃんでも、たった一人の可愛い弟を殴るなんて。
僕はお兄ちゃんにつかみかかり、すぐに取っ組み合いの兄弟喧嘩が始まってしまった。
僕が勢いよく放った平手打ちが、お兄ちゃんの左頬にクリーンヒットする。
「いってー」
「やったー、バーカ」
ニヤニヤと笑みを浮かべて喜ぶ僕の態度に、お兄ちゃんは顔を真っ赤にして怒る。
今度は、お兄ちゃんの攻撃が襲ってくる。
僕の額を握りこぶしで思い切り殴りつけてきたのだ。
額が焼けるように痛み、痛みのせいで視界がぐらぐらと揺れる。
あまりの苦痛と恐怖に、僕はワンワン声をあげて泣き出した。
「ざまあみろ。弟のくせに兄に手を出した罰だ」
「痛い、痛い……。ママにいいつけてやるから」
「勝手にしろ」
僕はお兄ちゃんを睨みつけながら、なりふり構わず大声で泣いていた。
そのとき、キッチンからママの金切り声が響いてきた。
「ねえ、誰なのー? これを出しっぱなしにしたのはー?」
声音からすると、相当ご立腹のようだ。
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