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「ごめんなさい」と、声にもならない声で梓は言った。すると、霞み始めた目の前にあるのは笑顔になった少女の顔だった。
「一緒だね」
そう聞こえた気がした。私の目はどうにかしてしまったんだ。だってここで私の首を締めているのはあの店の店長に違いない。警察はまだ助けに来てくれないの……?
「助けて……」
そう言った声が誰かに届いたのだろうか。次に目覚めたとき、梓は病室で、傍らには制服姿の男性が座っていた。
「ノスタルジック・ワンダーというおもちゃ屋で、少女の首を締めて殺害した罪であなたに逮捕状が出ている。あなたは気を失って二日間眠っていた。きっと長い夢を見ていたんだね」
その男の顔には見覚えがあった。
「私は逮捕されるの?」
「心配はない。無実を証明すればいいんだ。ここを抜け出して、私の店に来てくれ」
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