ノスタルジック・ワンダー 〜人形と殺人〜

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 梓は着替えを済ませ、帽子を深く被って、看護師たちに見つからないように病院を出た。自分がいつの間に病院に来たのかも知らなかったので、そこから抜け出せたことには、ほっとした。 「君は人形になるには年を取り過ぎている。そう思わないか?」 二人はノスタルジック・ワンダーに着いた。梓は今年40歳になるが、人形が若くなければいけないなどということは知らなかった。年齢で人を差別することが、彼女を不快にさせた。 「あなたの方が年老いているわ。あなたに人形を作る資格があるの? あなたの言っているのはそういうことよ。――そうだ! 私があなたを人形にしてあげる。こうして頭を付け替えればいいのよ。いつか夢で見たわ」 梓はその男の頭に少女の人形の頭を縫い付けるのだった。
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