ノスタルジック・ワンダー 〜人形と殺人〜

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 梓が目を覚ますと、そこは病室で、傍らには警官が座っていた。 「ノスタルジック・ワンダーというおもちゃ屋で、少女の首を締めて殺害した罪であなたに逮捕状が出ています。あなたは気を失って三日間眠っていました。体調はいかがですか?」 「ティータイムにしましょう。少し頭を整理したいの」 梓はいたって落ち着いていた。 「構いませんよ。我々、警察も反省すべき点がありました」 「反省? 私を守れなかったことかしら?」 警官の口角が少し上がって、笑ったように見えた。 「おかしなことをおっしゃる。我々が守るべきは、ノスタルジック・ワンダーの店長でした。店内で起きた殺人事件の犯人として、一度は誤認逮捕をしてしまいましたが、別の真犯人がいることに気づき、彼を釈放しました。彼は自力で捜査して真犯人のあなたを見つけ、取り押さえようとしました。抵抗したあなたと店長は揉み合いになり、あなたが意識を失う怪我をするに至ったのです。本来は我々警察が先にあなたを発見し、逮捕するべきでした」
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