〝全く興味がない〟それだけだった

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何を思ったのか、1人で盛り上がっているミケーレを冷めた目で見ながらソフィーアは溜息を吐いた。 よくこの空気の中、馬鹿なことを言い出せたものだ。 命知らずもここまで来ると勇敢とでも言うべきだろうか。 普通ならならば、自分の身を案じてもう引くところだろうに。 「ご自分で言った事をお忘れですか?」 「お、覚えていない!」 「この紙にサインしたでしょう」 「知らないッ」 知らない、分からない、と子供のように繰り返すミケーレに、皆は引き攣った顔でミケーレを見ている。 リマに至っては「俺の末の妹すらこのような事を言った事がないのに」と言う始末である。 ちなみにリマの末の妹は8番目の妻が産んだ5歳の可愛い女の子である。 「‥‥ランドリゲス公爵、少し教育方法を考えた方がいいのでは?」 「お恥ずかしい限りです‥‥ラバンジール殿下の言う通り、そうさせて頂きます」 「ヘール王国にどんな馬鹿でも真面目になるオススメの鍛錬場があるのだが、一度そこに送ってみては如何だろうか」 「はい‥」 真面目なラバンジールはミケーレの言動を見て、ランドリゲス公爵とソリッドに真剣に提案している。 どうやら度を越したミケーレの馬鹿さに、ラバンジールは哀れに思ったのか同情を示しているようだ。 怒りを通り越して、呆れているリマは手を上げて首を振る。 そんな精神年齢が低い子供のようなミケーレに、ソフィーアは溜息が止まらなかった。 ここまで理解力がないとは、正直思わなかったからだ。
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