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小さな頃から私は本が好きだった。お姫様が魔法をかけられて王子様と幸せになる夢物語は母に何度読んでもらっても飽きなかった。そして小学校に上がると私は図書館に入り浸るようになり、本の世界の虜になった。この頃からいつか自分だけの物語を書けたらなんて、ちっぽけな夢を思い描いていたように思う。
そんな夢は中学の時の両親の離婚をキッカケに自分のいる現実世界から違う世界を求めて逃げ出すための手段として自分だけの物語を書くようになっていた。
──私は此処にいるよ。
誰かが私の物語を読んで私という生き物が世の中に存在していることを知って欲しかったのだとおもう。やがて自己承認欲求が芽生えて自作の物語をコンテストに応募するようになったが結果はいつも同じだった。誰からも必要とされてないようで、誰からも自分なんていらないと言われているようで、その度に呼吸は溺れているように苦しくなった。
「……私って何のために生きてるんだろう」
自問自答を繰り返しながら一気に坂道を下っていく。身体中に春風が纏わりつきながら、私の心の隙間にも風が吹く。哀しく苦しい全てを心から落っことして、このまま空まで漕いでいけたらいいのに。
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