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「月瀬?」
「蒼から借りてたの忘れてた……」
ワンピースのポケットからでてきた水色のハンカチは、蒼から借りたのを忘れたまま洗濯した為、丸まってしまっている。
蒼が私からハンカチを取り上げると、そっと目頭を拭った。そしてすぐにハンカチを私に返した。
「それやるよ。どうしても泣きたくなったら使って。でも……なるべく泣くなよ?」
「うん……分かった」
「あと……これ月瀬に」
私が泣き止んだのを確認してから蒼が紙袋を差し出した。私は受け取り、中を確認するとすぐに蒼を見上げた。
「……蒼、これ……」
紙袋の中には私のノートと青い小花の小さな花束が入っていた。
「ブルースターの花言葉はさ、『信じ合う心』。俺の母さんがブルースターの花が好きでさ、それで俺の名前に蒼って付けたんだ。俺さ……どんなに離れてても、月瀬の夢が叶うよう信じてるから」
私は込み上げてくる熱いモノを一生懸命喉の奥に押しやる。今また泣いたら蒼をまた困らせてしまうから。
「……私も……蒼のことずっと信じてる。蒼に会えなくても蒼が夢を叶えるって……いつも信じてるから……」
「うん……月瀬ありがとう」
「……蒼、大好きだったよ」
蒼の大きな掌が私の頬に触れた。そして、ゆっくり近づいてくる蒼の綺麗な瞳を見つめながら私は瞳を閉じた。
私の初めてのキスはしょっぱい海の味がして寄せては返す波音と共にはじめての恋は涙と一緒に攫われていった。
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