最終話 信じ合う心

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「あ、これSNSでみた。現役大学生で小説家デビューした春瀬月乃の本だって」 「へー、読んでみよっかな」 私は女子高生達の会話を盗み聞きしながらクスッと笑った。 自分に自信なんてまるでなくて、臆病で弱虫ですぐ涙をこぼす私だけど、蒼との出会いで前を向くことを知り強くなれた。自分を信じること、自分を好きになること。そして夢を信じて歩き続けること。 蒼との記憶は永遠に私のタカラモノだ。そしてあの恋愛ごっこの七日間を閉じ込めた、この物語は私の心と共にいつだって貴方のすぐ隣に寄り添っている。 「ねぇ、蒼……またいつか会えたら……」 私は文字が紡ぎ出す言葉の力を信じ続ける。この物語が誰かの心に届き、私からこぼれた一文字一文字が力を放って心の奥深くまで貫くことを信じている。 そして私が言葉に託した想いが誰かに届くことがあったのなら、ぜひ迷わずに恋をして欲しい。 忘れられない恋を。自分自身を変えてしまう程の切なくて優しい恋を。見えていた世界が一瞬で変わるような一生に一度の恋を。 そんな想いをありったけ込めて書いた私の初恋の物語。 ──その物語のタイトルはいま君の掌の中に bff58cce-5256-4f4e-ae19-b51f1441ae99 2023.3.20 遊野煌 ※画像はフリー素材です。
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