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程なくして、伯母宅の近所のグループホームに空きができ、おじいちゃんの入居が決まった。
来た時と同じように、古びたボストンバッグひとつを大事そうに抱えておじいちゃんは去っていった。
その後父の転勤が決まり、私たち一家は次の桜が咲く前に、遠方へ引っ越すことになった。もう絶対に、桜の木がある家だけはごめんだと思った。
それからおじいちゃんが生涯を閉じるまでの約十年間、私が面会に行けたのは片手で数えられるほどだった。
会う度に遠ざかるおじいちゃんの記憶に反して、私の後悔は年々色濃く、はっきりとした輪郭を持った。けれども、結局一度も謝ることはできなかった。
あの日の記憶は不意にぼたりと降ってきて、ピリリと痛みを走らせる。桜が散り終えた、こんな毛虫の季節になると。
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