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お彼岸
三回忌の数日後、祖母の命日。(ちなみに、春のお彼岸の一日前である)
私は仏壇の祖母の遺影の前に、ちょっと高めのケーキを供えた。
祖母は甘い物や美味しいものが大好きだった。
あの世でものが食べられるかは全く知らないが、体を気にせず好きな物を沢山食べて幸せになってくれてれば良いと思った。
合掌して深く頭を下げ、心の中で祖母にお礼を言う。
お彼岸はあの世と現世が最も近くなる時だと何処かで聞いた事がある。
今回の出来事は彼女も何らかの力を貸してくれていたと、何となく思わずにはいられなかった。
血管が完全に破裂せず謎の薄皮一枚が繋ぎ止めていた事や、今回の病院が昔祖母が昔何度も手術でお世話になった病院でもあった事ーー。
気のせいといえばそれまでだが、何だか不思議な繋がりを感じる。
また、亡くなった者が生きた人間を助ける時にはかなりの苦しみが伴うとも聞いた事があったので、私は「ありがとう、しっかり休んでね」と念じた。(本当に伝わったどうかは知らない)
父は生前の祖母に対してツンとした態度ばかりをして、軽い口喧嘩もよくしたが、そんなでも彼女の葬式の時には少しだけホロリと涙を一滴流したらしい。
祖母も一人の母として、そんな息子に思う所があって、霊の身でありながら何か精一杯の事をしたのかも知れない。
まあ、全部想像で本当の事なんて現世の自分には、これっぽちも分からないのだが。
本当、祖母が亡くなってから本当に不思議な事ばかり起こる。
四十九では私の夢に現れ、その後も今回のような形で夢に何度か現れて意味深な手助けばかりして来る。
この人は亡くなってから強い何かに生まれ変わったのではないだろうか?
本当、祖母には頭が上がらないなと思う。
念じ終わって顔を上げた時、遺影の祖母の顔が、一仕事終えて満足そうな顔に見えた。
それを見たら、ちょっと笑みが溢れた。
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