2.避けてるのに何で追ってくるんですか?

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 特に侯爵家令嬢の金色の髪に派手な口紅してる侍女……セイディだっけ?  あの女を中心に分かりやすくアデリナに悪意を向けてくるんだよね。  私アデリナじゃないのに(笑)。  でもいくらアデリナがローランドに嫌われてるからって、あの人達確か小説の中でもアデリナに酷い態度を取ってたはず。    まあ、かと言って大人しくやられてるアデリナではなかったけど。  侮辱されたら直接攻撃もアリ的な?  頭に来たら具体的に相手の頭からお酒かけるとか。  とにかく性格が悪いだけあってアデリナもぶっ飛んでるキャラだった。  まあ、私には関係ない事だし何言われても無視してるんだけど。  「ていうか……私アデリナじゃないし。」  ぶつぶつ言いながら王族に関する分厚い国法の本をパラパラと捲る。  表紙はレリーフのような金縁で繊細に彩られていて、とても立派なものだ。  さすが王宮の図書館というだけあって壁一面、高い天井付近まである本棚に様々な本がびっしりと詰まっていた。  本当に小説の世界にいるんだなと思わずにいられない。  訳のわからない独り言を言う私を見て、側に控えているホイットニーが苦笑した。  「またまた。アデリナ様は本当にご冗談がお上手ですね。」  この子も本来ならこの国の伯爵家のご令嬢らしい。  花嫁修行の一貫としてアデリナに仕えているんだとか。  そもそもアデリナ付きの侍女達は全員が貴族の令嬢らしい。  一般人の下働きのメイド達とは違うみたい。  「だから〜私はアデリナじゃないって言ってるでしょ?」    自分が憑依者であり、本当はアデリナではないという事実をホイットニーに隠す気は全くなかった。  だがこの容姿ではホイットニーは全く信じてくれない。  やっぱり顔がアデリナだと、中身が違うなんて事に気づく人はいないんだろうか。  まだホイットニー以外の人には秘密にしてるんだけど。    けど私がアデリナじゃないと明かしても誰も信じてくれない説が濃厚なのは分かる。  ここ数週間、この小説の世界で生きていればそれを嫌って程実感させられている。  だって誰もが私を見る度に「アデリナ様」か「王妃陛下」としか言わないんだから。  それはあのローランド王だって同じだった。
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