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私が離婚宣言したって、いつもの事だと邪険にあしらわれたのだ。
誰にも本当は私がアデリナじゃないと気づかれない現状……
裏にはお国同士のパワーバランス問題……
今、私がバッドエンド回避に向けてできることは限られている。
それにローランドと円滑に離婚するにしても、冷静になって考えてみたら私はこの国の離婚や法律を、ほぼ何も知らない状態なのだ。
「アデリナ様は離婚について何をお調べになりたいのですか?」
だらしなく項垂れながら本を捲る私に、ホイットニーが背筋をピンと伸ばしたまま尋ねてくる。
「ええっとね……あのローランドに離婚を納得させる為には、法律による離婚事由で説得するのが一番早いでしょ?」
「離婚事由…ですか?」
「そう、例えばこの国の王族はどんな理由があれば離婚ができるのか。」
興味深そうに耳を傾けるホイットニーに私は丁寧に説明していく。
「あのローランドと性格が合わないから即離婚!できるのか、それともDVとかモラハラとか具体的な理由が必要なのか、とか。」
「でぃーぶい……もら、はら?」
ほぉっ、と言った顔でホイットニーは外国語のように言葉を復唱にする。
いや、可愛いな。ホイットニー。アデリナが側に置きたがっていた理由が分かる気がする。
「それに離婚時に財産分与は貰えるのか!ってのがポイントよ。
だって離婚が成立したら私は一人で生きていくわけでしょ?
その時にお金がなければ生きていけないじゃない。
別に贅沢なんてしなくていいから、当面の生活ができるお金があればいいのよ。逆に全くお金がないと困るの!
結局、世の中お金なんだから」
豪語しといて、本当それ。
現実の私もさっさとクズ夫に見切りをつけて、慰謝料踏んだくれば良かった。
そもそもアデリナの私財ってどのくらいあるんだろう?
王妃ってお給料制?
国から支給されてるならやっぱりローランドがアデリナにお小遣いとかあげてるのかな?
……なん、も分からない!!王族とかに縁がある人生なんか歩んでこなかったしね!
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