prologue.性格の悪い妻に憑依したので、迷わず離婚します

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 ……珍しい?  アデリナは性格の悪い妻で、ローランドの事を完全に私物扱いしてたから、気に入らない事があれば悪口ばっかり言ってたんじゃないの?  「あら。  じゃあ普段の私(アデリナ)はいつもローランドの事をどんな風に(悪口)言ってるの?」  「はい……?」  この侍女に言わせれば、自分の事なのにまるで他人のように言う私が不審に思えてならないだろう。  茶色の髪にちょっと細い目。  背も小さめで可愛らしい。  見た目には随分と大人しめな若い女性。  まさに本場の外国人メイドといった黒いワンピースに白いエプロンを身につけている。  その侍女は、少しだけ緊張を緩め粛々と言った。  「そう、ですね…アデリナ様はいつもローランド様をベタ褒めしておいでです。」  「そう……私がローランドを。  ……褒め………!?えッ!?」  「はい……いつもお恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、『今日、ローランドが召していた服は私が特別に王室御用達の衣装係に作らせたものだ、とても似合っていた、素敵だったわ。』  『廊下ですれ違った時に睨まれたの。ドキドキしたわ。さすがローランド。目で人を惚れ殺せる天才ね。』『今日、4日ぶりにローランドと一緒に食事をしたの。イケメン過ぎてあんまり顔見れなかったけど、幸せだったわ。』と。  アデリナ様はいつもこの様にローランド様をベタ褒めしておいでです。  だから悪口など仰ったのは今夜が…初めてではないでしょうか?」  なん………ですって………!??  間違いありませんと、侍女は何を思い出しているのか頬に手を当てうっとりとして瞼を閉じた。  「ちょっ……っと待って……  じ、じゃあアデリナは……まさか、ローランドの事を本気……で?」  「あ、アデリナ、様…?」  まさかそんな筈はないと願って侍女の肩を無意識に強く掴んでいる。    「……アデリナはローランドを自分の財布だとか、何をしても怒らない道具だとか、自分の私物だとか思ってるわけじゃなくて…?」  「は…はあ。左様です。  アデリナ様は結婚されてからずっと、ローランド様を物凄く愛されていらっしゃるではないですか?…一体どうなされたのですか?」  一体どうなされたのか……?    そんなの…私だってアデリナに聞きたい!  この身体の持ち主は一体どこに消えちゃったのよ!?  それに……アデリナ。あんた。実はローランドの事をそんなにも愛してたの……!?  え?そんな描写、小説にあったかな?  だとしても……アデリナ。  あんたはローランドに嫌われたまま、最後は我が子までも失うんだけど。  もしかして……アデリナは。  ただの不器用な女だったってこと!?  って……不器用すぎるでしょ!!!  
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