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日和の謝罪・2
「……!」
がば、と全身に圧を受けて、抱き締められたのだと気付く。
同時にその身体が小さく震えているように感じた。
「あの、華月……さん、ごめ、なさ……」
「日和様がご無事で良かったです」
「えっ……?」
「勿論日和様の事は心配しておりました。だけど、それよりも、こうしてこの家に帰ってきていただけたことが……私はとても嬉しいです」
「あ……」
昨日、竜牙は言っていた。
『外の範囲には必ず誰かがいる。それは家族かもしれない、友人、もしくはもっと外の人間だ。日和がもしその人間が認知できたら、言え。なんでも。気持ちでもいいし、我が儘でもいい』
……と。
その範囲に華月も居ることに、気付いてしまった。
彼女はもう、他人なんかじゃない。
玲や竜牙、波音達と同じなのだ。
そう確信した時、目からは再び涙が零れて、自分を抱き締めてくれる体を日和は抱き締めた。
「ごめんなさい、華月さん……。ありがとう、ございます」
「いいえ。私は、日和様がこの家に戻ってきてくれただけで、十分なんです」
「……華月さん、私……この家が嫌いになった訳じゃない、です。どう過ごしていいかはまだ分かりませんが、こんな私を気にかけて声をかけてくれる皆さんに、感謝しています。
私は、ずっと孤独に過ごしてきました。だからか皆さんともどう接したらいいか分からなくて……。竜牙のお仕事も、邪魔してるんじゃ……と不安になっていました。だから、帰ることができなくて……」
「日和様……。……大丈夫ですよ、何かあれば私にお申しつけ下さい。不安なことも、心配なことも、なんだって。貴女はもう、この置野家のご家族様の一人なんですから」
自然と出た言葉に、華月は優しく微笑んで返してくれる。
甘く、溶かしてくれるような優しさだった。
日和の過去には知らない事ばかりを、この家は、この人達は与えてくれる。
「ところで日和様、朝ですが……もう、お食事になさいますか?」
「あの……えっと、少しだけ、体を流したいです……」
「うふふ、ではお風呂ですね。只今準備致しますから、お待ちください」
昨日も竜牙に食事の催促をしたのに、華月もにこりと笑って準備に入る。
どうしてこんなにも親身になってくれるのだろう?
だけどこの温かな気持ちは、自然と零れた言葉は、自分が知ったものだ。
お昼には、心配をさせてしまった波音と玲に謝らなければ。
竜牙も一緒に居る筈だ、皆の前で、しっかりと謝ろう。
華月の入浴による再度の呼びかけから体を温め、綺麗にした日和はこの後の為の気持ちを強く思うのだった。
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