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その夜、満天の星空。
アルはトリケラトプスの鼻の角に登って空を見ていた。
「星がいっぱい・・・」
「そうか?」
「あっ!流れ星だ!見えた?」
「角が邪魔で上の方はよく見えん」
「目はあんまりよくないんだね」
「わしらはシダの茂みがどこにあるかわかれば十分だ」
「ふぅん・・・じゃあ何か見つけたら教えてやるよ」
いつの時代も、野生の小さな動物が安心して暮らせる場所は限られている。
白亜紀の哺乳類なら、なおさらである。
一歩でも平原に出れば、翼竜や小型の肉食恐竜の餌食である。
だからといって、森が安全なわけではない。
昼は木々を飛び回る羽毛恐竜に襲われ、夜は夜行性の蛇やトカゲが音もなく忍び寄る。
だが、今夜はいつもとは違った。
幸運なアルファドンは、生まれて初めてぐっすりと眠ったのだ。
最も危険な平原の真ん中で、トリケラトプスのフリルに守られながら。
イラスト たやす
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