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小さな動物ほど睡眠の周期が短く、眠りも浅い。 東の空が明るくなった頃、アルは目を覚ました。 その大きな耳と尖った鼻がピクピクと動いた。 音と匂いのする方向を見ると、数頭の獣脚類がいた。 体長2.5m、後ろ足に鎌のような鋭い爪(シックル・クロー)を持つデイノニクスである。 もちろん、トリケラトプスをまともに襲う肉食獣はいない。 だが、寝込みを集団で襲撃すれば勝ち目はある。 デイノニクスは、トリケラトプスの背後から静かに近づいた。 アルは、トリケラトプスの外耳孔に叫んだ。 「オヤジさん!起きて!」 トリケラトプスはゆっくりと瞼を開いた。 「後ろを見て!襲ってくる!」 トリケラトプスは振り返った。 デイノニクスは、身を屈め後ろ足の鉤爪を持ち上げて戦闘態勢である。 だが、トリケラトプスが角を向けると、戦わずに去って行った。
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