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海ちゃんはまず純白のドレス二着を着てみせてくれた。
裾がふんわり広がった童話のお姫さまみたいなドレスと、海ちゃんの身体にフィットした細いラインのもの。
対照的なシルエットだけど、どちらも海ちゃんによく似合っていた。
「桜ちゃん、どっちが好きとか……ある?」
「え!えーと、そうだなあ……えー、でもどっちも似合うしなー」
迷いながら、海ちゃんの婚約者さんの方を見ると、彼は優しい笑顔でうなずく。
「うん、どっちも似合うよ、海」
海ちゃんはかすかに頬を染め、はにかんだような表情になった。
「……そ、そんなこと言ってたら、いつまでも決らないでしょ……もう」
怒ったような言葉だけど、そうでないことは一目瞭然だ。
海ちゃんには珍しい表情に、なんだか微笑ましい気持ちになる。
婚約者さんの前ではこんな顔をするんだなあ。
……結局
スタッフさんも一緒に四人であれやこれや話して、海ちゃんは細いラインのマーメイドドレスと、青いカラードレスを選んだ。
海ちゃんの名前にピッタリの、素敵なドレスだった。
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