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それから、ティータイムを終えた私達は近くのビルに入った。
そこは百貨店みたいになっていて、色んなお店が入っている。
ブティックに、アクセサリーショップ、コスメショップ……
私には少し大人っぽい店が多かったけれど、可愛らしいものもたくさんあって見ているだけで楽しかった。
私と一緒に色いろ見ていた海ちゃんがやや遠慮がちに言ってきた。
「…桜ちゃん、よかったら何かプレゼントさせてくれる?」
「え!い、いいよ、いいよー!大丈夫だよ」
「…でも私、4月の桜ちゃんの誕生日に何もしていないし」
海ちゃんはそう言うと、近くのショップを指差す。
「…ほら、あそこのお店は?桜ちゃんくらいの歳の女の子がたくさんいるよ」
「え」
それは確かに私くらいの女の子が対象であろうブティックだった。
パステルカラーの店内には、どちらかと言えばガーリー系の服が多く置かれていて、それを選んでいるお客の女の子たちも、レースやリボンのついた可愛い洋服を着ている。
「女の子らしい」という言葉がピッタリのショップだ。
「桜ちゃんは、ああいう服好き?」
「うん、好きだよ。可愛いもん」
普段着るのは、もう少しカジュアルなものが多いけれど、リボンやフリルももちろん大好きだ。
「良かった。じゃあ、見に行こう?」
海ちゃんが微笑んで、私をショップに連れて行く。
婚約者さんは優しく笑い付いてきた。
私は戸惑いながらも、とりあえず海ちゃんとショップに入る……
つもりが、入口のところで知っている顔を見つけ、足を止めた。
茶色の髪に、目の下の泣きぼくろ。
少しだけチャラい雰囲気のイケメン。
「あ、み、美作先輩?」
「沢渡さん!?」
相手も驚いた声をあげた。
そう。演劇部の美作先輩だった。
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