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「うっ!」
息苦しさに僕は激しく咳き込んだ。
苦しくて涙が流れる。
潤んだ視界に最初に映ったものは、ひび割れた硝子…
どうやら僕は硝子のケースのようなものの中に横たわっているようだ。
あたりには、何が焦げ臭いような…土のようなにおいが立ち込めている。
涙を拭い、僕は起き上がろうとした。
その瞬間、体のあちこちが激しく痛むのを感じた。
(一体、なにがどうなったんだ?)
何もわからない。
ただ、今は、起き上がるのが一番大切なことのように思えた。
だが、硝子の蓋が邪魔で起き上がれない。
痛みを堪え、力を込めるが、硝子の蓋は思いの他重くてどうにもならない。
ふと、足を動かした時に何かが当たった。
下の方に目をやると、そこにはけっこう大きな穴が開いていた。
あそこからならなんとか出られるかもしれない。
僕は小さなケースの中で、なんとか態勢をねじり、足元に開いた穴からどうにか脱出した。
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