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(な、なんだ、これは!?)
僕は目の前に広がる光景に息を飲んだ。
あたり一帯には、同じ大きさのケースがずらりと並んでいた。
そして、そのケースの中には、人が一人ずつ横たわっている。
全員が、今僕が着ているのと同じ水色の服を着ている。
しかも、ケースの大半は茶色い土砂に埋まっていた。
そのことから推測されるもの…それは『事故』だった。
(事故……)
そう思った時、僕の頭の中に一気に忘れていた記憶が流れ込んで来た。
そう…ここは牢獄だ。
人を殺した罪人達が、冷凍保存される地下の牢獄なのだ。
遠い昔には、人を殺した者は死刑に処されていたと聞く。
だが、今はそんな野蛮な刑は廃止された。
その代わりに、罪人たちはこの地下の牢獄で冷凍保存される。
それには期限がない。
つまり、一生、眠り続けなければならないんだ。
僕達はいつまで経っても死ねない。
何もせず、ただ眠っただけで、気の遠くなるような長い長い時を過ごすんだ。
考えようによっては死刑の方がまだましなんじゃないかと思える。
それに…そもそも僕は何もやっちゃいないんだ。
ある男の陰謀で、僕は犯人に仕立てられた。
嫌な記憶に、さらに僕の鼓動は速さを増した。
(アンナ……)
僕の物思いは微かな音で中断させられた。
僕はあたりを見渡す。
「あ……」
傍にあったケースの中の男が、中からケースを叩いていたんだ。
僕はそのケースに向かった。
ほんの数歩歩いただけで、足がもつれあやうく転びそうになった。
僕の筋力はすごく弱っているようだ。
男は、ケースの中で何か言っている。
多分、開けろと言ってるんだろう。
僕は、ケースの周りを調べた。
頭の上になんらかの計器のようなものや小さなボタンが並んでいたが、一部は土砂で汚れていた。
横には、それよりも大きな赤と青のボタンが二つあり、おそらくそれが開閉ボタンだろうと直感的に推測した。
僕が青いボタンを押し込むと、硝子の蓋が音もなく開いた。
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