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(すごい……)
天にも届きそうなタワーマンション…
ここは、確か、ディルマン家の所有のマンションだ。
アンナが暮らしているのもこのマンションの一室だ。
「いらっしゃいませ。」
迎えの車から降り、玄関ホールに向かうと、若い男が僕を出迎えてくれた。
「あ、あの…僕は…」
「ジュリアン・リヴェル様ですね。
ベルナール様がお待ちです。
こちらへどうぞ。」
豪華なシャンデリア…子供達が大勢走り回れる程の広いホールを突っ切り、僕は若い男の後に続いた。
エレベーターの前を通り過ぎ、扉の向こうに進むと、またエレベーターがあった。
おそらく、これはベルナールの部屋専用のエレベーターではないかと思った。
音もなく上昇するエレベーター…刻々と刻まれて行く数字が120階で止まった。
「こちらです。」
ふかふかした絨毯が敷き詰められた廊下を進むと、大きな扉の前に出た。
若い男がチャイムを鳴らすと、しばらくして扉が開き、年配の男が出て来た。
「ジュリアン様、ようこそいらっしゃいました。
どうぞ、中へ…」
「あ、ありがとうございます。」
促されるままに、僕は部屋の中へ足を踏み入れた。
むせかえるような花の香りが僕を出迎えた。
想像はしていたけれど、彼の家は僕の想像を遥かに超えていた。
いかにも高価そうな調度品の数々…どれもこれもが素晴らしい。
きっと、僕の給料ではこの家の玄関マットすら買えないだろう。
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