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ダグだけじゃない。
コールドスリープになったのには、各々深い事情があるのだろう。
「ダグ…君はよみがえったことをどう思っている?
良かったと思ってるか?」
「そうだなぁ…」
ダグは鉛色の空を見上げた。
最初は夕方なのかと思ったこの空は、隕石によって削られ舞い上がった塵が太陽を遮っているのだそうだ。
空は、昔のような青さや明るさを見せてくれることはなくなった。
「良いとかどうかはわからないけど…
よみがえった以上、俺は俺の出来ることを精一杯やりたいと思ってる。
地獄からよみがえった俺が、今、まるでアダムとイヴみたいなことをしているのが、なんかすごく不思議な気がするんだ。
不謹慎だけど…正直言って、毎日がすごく楽しいんだ。
考えてもみろよ。
これがただの地震だったら、俺達はきっと地上に出てすぐに収監されて、地下の設備が元に戻ったら、また眠らせられてただろうな。
だけど、そうはならなかった。
それどころか、俺達はここで必要とされている。
俺にも人の役に立つことが出来てるんだ。
格好付けるわけじゃないが、そのことが俺は嬉しくてたまらないんだ。」
そう話したダグの顔は、晴々しく輝いていた。
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