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移動しようとした時、また一人の男が目覚めているのをみつけた。
さっきと同じように青いボタンを押し、蓋を開ける。
「ありがとう!一体何があったんだ!?」
体格の良いその中年の男は、名をルイスと言った。
「あ!おまえ達…!」
長い通路をとぼとぼと歩いているうち、僕達は小走りで駆けて来る小柄な男に出会った。
彼は、僕達と同じ水色の服を着ていなかったし、胸にナンバーや名前も描かれていない。
「目覚めたのか!?」
「あんたは?」
「俺はここの看守だ。」
「看守だとぉ?」
ダグは、男の胸倉を掴み上げた。
「止せ。」
ルイスがダグを制した。
ダグは、舌打ちをしてその手を離した。
「何もお前たちをどうこうしようっていうんじゃない。」
男は、上着の襟を直しながらそう言った。
「残念だが、ここからは出られないからな。」
「出られないだと?どういうことだ?」
「エレベーターが壊れている。」
「エレベーターが?階段はないのか?」
「あるにはある。
だが、あるのは向こう側だ。」
男は、土砂で埋まった方を指差した。
あれだけの土砂をかき分けて進むのは相当な苦労だ。
今の僕達は体力もすっかり落ちている。
道具もまともなものはないだろう。
そんな中で、あれを退けるのは相当骨の折れる仕事だとわかる。
皆も僕と同じ気持ちだったのだろう。
誰も言葉を発しなかった。
それから、僕達はケースの中を確認しながら通路を歩き…運良く覚醒していたのは、僕を含め七人だけだった。
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