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「そんな馬鹿な!」
ダグは、看守に向かい、大きな声を上げた。
「二人だって多過ぎるってもんだ。
あんたらはただ静かに眠ってるだけだ。
機械の故障なんて一度もなかったし、俺達には見回る以外、ほとんど何の仕事もなかったんだからな」
僕達は、看守の部屋に向かった。
そこには粗末なベッドが二つと長椅子とテーブルが置かれていた。
七人の男達が入ると、窮屈さを感じるような狭い部屋だった。
驚いたことに、看守は各階に二人だけしかいないのだそうだ。
囚人のケースは、ざっと見てもおそらく各階に1000個はあると思われる。
それに対してたった二人とはやけに少ないように感じるが、ここは全てが機械によって制御されている。
余程のトラブルでも発生しない限り、人手は不要だと考えられていたのだろう。
看守達は通勤ではなく、三ヶ月、この地下深くに住み込みで働くのだという。
「あれ?もうひとりの看守は?」
「それが…いないんだ。
あの時間帯はカインが見回りをしていた。
だから、あいつは土砂に埋もれてしまったんじゃないかって思ってるんだ。」
看守は苦々しい表情でそう言った。
「ところで、食べるものはあるのか?」
「あぁ、あるにはあるが、節約して食ったとしても、この人数じゃそう長くはもたないだろうな…」
「そういえば、確かに腹が減ったな。」
ダグに言われると、なんだか僕も腹が減ったような気がしてきた。
今までは食べることなんて、考える必要もなかったのに。
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