めぐり逢い~遥かなる時の彼方で

6/47
前へ
/47ページ
次へ
「そんなことより、今は何年なんだ?」 「2815年だ。」 看守の言葉に僕は驚きを隠せなかった。 ダグは浮わついた口笛を吹いて冷やかす。 あの時からもう400年近く経っていたなんて… ただ驚くばかりで実感はわかないが、看守が嘘を吐いてるとも思えない。 そんな嘘を吐く必要はないのだから。 「世の中はだいぶ変わったんだろうな。」 「なぁに。たいして変わらないさ。」 「あ…じゃあ、あんたは俺よりずいぶん年下なんだな。」 「そのようだな。」 ダグと看守はそんな会話をしながら笑っている。 他の男達は、二人とは逆に何か思いつめたような顔をしていた。 やはり、彼らも僕と同じようにショックを受けたのだろう。 「それで、今回は何が起きたんだ?地震か?」 「さぁな。」 「さぁなって…テレビは見てないのか?」 「それが、な…」 看守は、テレビの電源を入れた。 しかし、その画面には何も映らない。 「どういうことだ?」 「故障というより、電波障害って感じだな。」 「地上と連絡を取る術はないのか?」 「ホットラインも同じだ。うんともすんとも言わない。」 看守はそう言って肩をすくめた。 「ところで、これからどうするつもりだ?」 「そうだなぁ…」 看守は、目を伏せ顎をさする。 「待ってたら、助けに来てくれるんじゃないか?」 看守の言葉を待たず、ルイスが口を挟んだ。 「それまでここがもつかどうかだな。」 「……どういうことだ?」 「なんらかのトラブルがあった時、ここはすぐに予備の動力が動くようになっている。 だから、俺達は今息も出来るし、明かりだってついてるし、囚人達の生命維持装置も稼働している。 だが、それがいつまでもつのか、そいつはわからないからな。」 看守の話で、僕は今の状況が恵まれていることに気が付いた。 予備の動力が設置されてなければ、僕達はもうこの世にいなかったかもしれないのだ。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加