出で合いて。

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 強く神妙な眼差しで告げられ、聖の勢いが弱まった。 「そ、其れは、有り難いのだけど……」  素直な思いを一切へ声にし、顔が熱くなる聖。一切の怒りや心配、其の心が動く原動力は聖自身。そんな嬉しさや心地好さは、やはり否定出来ないもので。そんな聖へ、一切が続ける。 「経緯を告げなかったのは、帝、后妃様、皇子様へ近い顔触れであったので。確証の無い内は、其の空間を乱す訳にはいきませぬ」 「は……では、動向を見る為で?」  と、少々不満げな声で聖が訊ねた。本音は其れで、己の心情は特に関係無いのかと落胆が。一切も、聖のそんな心情に気が付いたのだろう。 「其れもある、と言う事です。万が一真に皇子様を狙うたのなら、尚のこと自然な振る舞いが身を守る事に繋がりますので」  聖の表情が強張る。 「万が一……まさか、狙われたのは……」 「ええ、私に御座いました。其れにより、大体道筋が見えましたので――」  一切は、聖へ経緯を語る。当初より、己の動向を観察する目があった事は確か。そして、あの一件。皇子である聖を狙うならば、もっと策を講じる必要があるだろうに無謀過ぎる出方であった。恐らく、あれは想定外の不運。此れに一切は、確信を持って最も己へ私怨を抱くであろう位置に居る者を、桂を通し調べたのだ。  狙撃役は足が付かぬ様に、身内より出さなかったのだろう。故此れを探るには確かに難であった。只、敵の詰めが甘かった事が幸い。外部より雇うたものの、其の当事者を生かし過ぎた事だ。だが、様々な変化を遂げた此の時世により、安易に死体や行方不明者を作るのも得策では無い。況してや、不穏な事件の直ぐ後に不自然な殺人は更に捜査の幅を広げる可能性もある。柳と馬酔木も慎重に様子を見て居たのだろうが、其れは凶と出たと。
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