そこに存在するだけで

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 時々想像する。違う世界線の自分のこと。  歩んでる道も、出会う人も、道の歩み方も、人生観もまるで違って、自分であって自分ではない自分。プラスとマイナスのどっちに振れるのかは分からないけど、この世界線より下はないと思う。 「どうですか?調子は」 「普通っすね」  いつものようにカーテンが開かれ陽の光が顔に当たる。眩しすぎる白い光に思わず目を閉じる。 「今年も綺麗に咲きましたね」  その言葉を合図にゆっくりと目を開け、目が光に慣れるのを待つ。じんわりと目が慣れ始め、真っ白だった世界がいつの間にか桃色に染まる。 「特等席ですね。この部屋ならこんな綺麗な景色を独り占めできる」  これで何度目か。特等席だろうと見飽きたモノにもはや新鮮味などない。 「嬉しいんじゃない?」 「嬉しい?なんでですか?」  わざわざ聞かなくたって分かる、単純な答え。聞き返した理由はただの礼儀だ。 「夜永くんにとっては特別でしょ?だって」  あー、ですよね。 「夜永くんの名前も綺麗に咲いてるから」
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